フリースタイルリブレで血糖スパイクを自覚する
最近私の勤務している病院の医局で遅まきながらフリースタイルリブレが流行しています。
何人かが始めたところ、予想外に血糖スパイクがみつかったことから、他にもやるドクターが続出しました。
いずれも、通常の血液検査での空腹時血糖やHbA1cは正常でした。「隠れ高血糖」というやつですね。
私も1年ぶりにリブレをしてみました。1年前は低血糖症があり、その後は色々対策を講じていましたが、最近はすっかり忘れて血糖の問題は頭の片隅にやられていました。(低血糖症についてはいずれ書きたいと思います)
しかし、私もなかなかのスパイクがあるということがわかり、またしばらくは血糖との闘いが始まりそうです。
フリースタイルリブレとは
24時間、血糖をモニタリングできる装置です。
上腕の後ろに小さい針のついたセンサーを貼り(ほとんど痛みはありません)、リーダーでスキャンすることで、血糖値、1日の血糖の変動のグラフが表示されます。
間質液中のグルコース濃度を測っているので、正確には血中の濃度とは違い参考値になります。私は何度か実際の血糖値と比べていますが、ほぼ正確と言えます。
針を刺す痛みもなく、24時間の血糖を知ることができる画期的な製品です。
アマゾンで購入可能ですが、値段はやや高めです。1つのセンサーで2週間測定できます。
食後高血糖
食後高血糖には恐ろしい点がたくさんあります。
①通常の検診などでは検出されたいため、耐糖能異常とは無縁と油断をしてしまう
②急激に血糖が上昇し、遅れてインスリンの過剰分泌が起こると、その後に反応性の低血糖を生じる可能性がある
症状としては食後に耐えがたい眠気があたり、数時間後には強い疲労感、時には動機や冷や汗などの低血糖症状を生じることがあります。これをパニック発作などの精神症状と誤解されていることもあります。
③AGEs(糖化最終生成物)の生成
これが一番の問題です。
糖、つまりグルコースは通常環状構造ですが、一部が開いて直鎖構造にななりアルデヒド基が露出し、これがタンパク質などと反応してAGEsを生成します。血糖スパイクで問題になるのがこの直鎖型グルコースです。通常の血糖範囲(90~140mg/dl)では糖毒性と呼ばれる有害作用は少なく抑えられます。
AGEsが細胞に取り込まれると、小胞体ストレスの原因になります。つまり細胞が疲弊してしまうイメージです。細胞表面の受容体に結合すると、炎症性サイトカインを生成し、周囲の組織に炎症を引き起こします。
炎症のの影響については、以下のブログでも扱っています。
これらの反応の結果として全身に様々な影響が現れます。眼科領域では白内障、加齢黄斑変性症、皮膚科領域では皮膚の黄ばみ、皮膚硬貨、メラニンの生成を活発化してシミ形成を促す、整形領域ではサルコペニア、骨粗鬆症、その他動脈硬化や認知症などです。
リブレによって集まってきた情報
そこでリブレ参加者はこぞって血糖スパイクを抑える努力を始めました。そこでいろんな情報が集まりました。
・ベジファーストは以外と効果が乏しい。
・食前のヨーグルトは効果あり。ただし砂糖、はちみつ入りはだめ。
・もち麦はあまり効果がない。
・炭水化物を抜けばほとんどあがらない。
・ゆっくり食べることがスパイクを抑制する。
・食直後の有酸素運動は、運動をしている間は上昇を抑えるが、運動を終えた時点から再上昇、つまり血糖スパイク後ろに伸ばすだけだった。
・食直後の筋トレは有効だった。
・難消化デキストリンを食事の時に摂取すると、スパイクを20程度下げてくれる。
いずれも個人の意見です。
リブレの効果
リブレをしている人をみると、リブレの学習効果に驚かされます。それまでお昼は毎日カップラーメンを食べていた人が食堂でご飯抜きの定食を食べるようになったり、食後に筋トレや運動をする人が出現したり。最近は難消化性デキストリンの話題が頻繁に飛び交っています。
タイムリーに視覚で訴えるというのは、教育効果が高く、行動変容に結び付くということを実感しました。
私も近々もう一度リブレをして、90~140㎎/dlを目指すべく色々試してみようと思います。