精神科女医の健康談義

精神科医の立場で精神科医療や栄養療法、漢方治療などについてわかりやすくお伝えしています。

臨床分子栄養学実践講座に参加してきました

先日、2年ぶりに分子栄養学実践講座のセミナーに参加してきました。

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宮沢賢史先生の講義はいつも曖昧さがなく正確な知識に溢れているので、非常に心地よくわくわくとさせてくれます。

 

久しぶりにビタミンCの重要性について再確認したので、基本的な事からお伝えできればと思います。

 

 

 

ヤギは自分でビタミンCが作れるのに、人間は作れない!

 

ビタミンCは、構造式がブドウ糖と非常に似ています。高濃度ビタミンC点滴をすると、体がビタミンCを糖と誤って、インスリンを出し、低血糖になることがまれにあります。高濃度ビタミンCの点滴の際は手元にジュースをおいておくのが無難です。

というのも、生物はブドウ糖からビタミンCを作ります。しかし人間はブドウ糖をビタミンCに変換する酵素をもっていません。私たちはビタミンCを外から摂取する必要があります。マウスや犬、牛、ヤギなどは自分でビタミンCを作ることができるのです。

普段ヤギは1日14gのビタミンCを作りますが、病気の時には100gも作ることができます。つまり、病気の時には、体がビタミンC100gを必要としているということですね。

私たち人間はなぜビタミンCが作れないのでしょうか。おそらく進化の過程でビタミンCを作る能力は必要ないと判断し、外注することにしたのでしょう。狩りが必要なタンパク源などと違って、ビタミンCは野菜や果物から安定して供給できるからだと思います。タンパク質の供給は、狩りがうまくいかないときには不安定になるため、オートファジーという機能が備わったのかもしれません。

 

ビタミンCの歴史

 

大航海時代に、長期間の船旅で、船員の多くが壊血病により命を落としました。こまめに港に寄り、新鮮な食糧を補給している船員には壊血病は発生しませんでした。壊血病とはビタミンCが不足することでコラーゲンが生成できなくなり、あらゆる血管が壊れて出血する病気です。コラーゲン生成にビタミンCは欠かせません。美肌にビタミンCが関与する要因の1つですね。

大量の犠牲者の背景にはビタミンCの不安定性があります。ビタミンCは加熱や水洗い、乾燥などで大量に失われるために、保存食から摂取するのは極めて困難だったのです。

 

 

傷を治りやすくする、かぜ予防、美肌効果、副腎疲労、がん治療などの目的で、十分なビタミンCを摂取し、体内に留めるには工夫がいりそうですね。ビタミンCの効果的な摂取方法については次回に述べたいと思います。

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