精神科女医の健康談義

精神科医の立場で精神科医療や栄養療法、漢方治療などについてわかりやすくお伝えしています。

栄養ドリンクの代わりに補中益気湯

昨日の続きです。

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補中益気湯とは

 

漢方に「気、血、水」をバランス良く巡らせるという考えがあります。その中でも一番重要なのが「気」。気力、やる気、元気などの言葉をみても、人の活力に気が欠かせないことがわかります。

その気を補ってくれる代表的な漢方(補気剤といいます)が、「補中益気湯」です。

 

補中益気湯に含まれる生薬

 

補中益気湯に入っている生薬は、人参、黄耆、柴胡、当帰、蒼朮、大棗、陳皮、甘草、升麻、生姜です。人参や生姜などいかにも体によさそうですね。例えば人参は朝鮮人参の根っこを乾かしたものですが、体を温め新陳代謝を促してくれます。これと黄耆を含んだものを参耆剤といい、強い補気作用を持ちます。十全大補湯などもそうですね。柴胡は精神的な症状にもよく使われます。気の巡りをよくし、うつうつとした気分を改善させてくれます。

 

補中益気湯が適応になる人

 

こんなによさそうなものばかり入っていますが、適応はあくまで気虚の人です。気虚は元気が足りない状態なので、だるくて力が入らない、気力がわかない、食欲がない、すぐに眠たくなるなどの症状です。こういった症状があるのに、病院では異常なしといわれるような人達に良い適応です。

ただ注意してほしいのが、「気虚の人がやせてるとはかぎらない」ということです。元気な人でも、一時的に気虚になることもあります。やせていないし、基本的には体力があると思っていても、やはり季節の変わり目やビッグイベントの後には気虚になることもあります。そういう時に補気剤を持っていると安心ですね。

痩せて元気のないおじいさんをイメージしがちですが、実際に処方してみると、若いのに気力を失っている人の方に意外と効果があると感じています。

 

栄養ドリンクの代わりに補中益気湯

 

高橋浩子先生が、栄養ドリンクは体にわずかに残った気を使い果たすものであるのに対して、補中益気湯は気を補ってくれるものとおっしゃっていました。糖質やカフェイン過多なドリンクより、補中益気湯を選ぶ方がいいですよね。

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