精神科女医の健康談義

精神科医の立場で精神科医療や栄養療法、漢方治療などについてわかりやすくお伝えしています。

ダイエットにも疲れにも運動にもお酒にもストレスにもマグネシウムは必要です。

今日はマグネシウムの重要性をお伝えしようと思い、過去の講義資料などを見返していました。しかしあまりにも内容のボリュームが多すぎて、頭を抱えてしまいました。

詳しすぎることまで知りたい人はそんなにいないだろうと思い、とにかく簡潔にお伝えします。(私は関西人なのでとにかく結論を知りたいタイプです。)

 

 

マグネシウムは重要なミネラルである。

とにもかくにもこれは覚えておいてください。

マグネシウムは、350以上もの酵素補酵素として働き、エネルギー産生にも必須です。

コロラド大学のアイカワ博士が「生命の火花(Magnesium is the life of spark)」と評されています。

マグネシウムが不足すると、体内の代謝の多くの部分の動きが鈍り、エネルギーが産生できなくなる、つまり疲れやすい、太りやすい体質になるということですね。運動によって産まれる乳酸の分解にも、マグネシウムが関わっているので、乳酸を分解できずに、疲れがとれないということになります。

詳細は省きますが、マグネシウム不足は便秘やうつ病、糖尿病、心疾患、不眠症、高血圧、線維筋痛症、首や背中の慢性痛、骨粗鬆症、がんなどの原因になると考えられています。

なぜマグネシウムは不足するのか。

杏林予防医学研究所の山田豊文先生は、現代人は深刻なマグネシウム不足に陥っていると警鐘を鳴らされています。

なぜマグネシウムが不足するのでしょうか。

食生活においては、

①食塩からマグネシウムなどのにがり成分が除かれ、純粋な塩化ナトリウムを使うようになったこと

②土壌中のマグネシウムの含有量が低下していること

③食生活の欧米化により食品中に含まれる脂肪酸やリン酸が増え、マグネシウムの吸収を阻害していること

などがあげられます。

生活習慣においては、飲酒や精神的ストレスによってマグネシウムの尿中排泄量が増えるので、こういった環境で生活している人には更に多くのマグネシウムが必要と言えます。

カルシウムの取りすぎも結果的にマグネシウム不足を招きます。カルシウムとマグネシウムはブラザーイオンと呼ばれ、セットで考える必要があるのです。バランスが非常に重要であり、1:1がよいとされます。牛乳は11:1なので牛乳の飲みすぎはカルシウムが過剰となるため、危険といえます。

マグネシウムをどう摂取すればよい?

ミネラルは吸収の難しさが問題です。

便秘で処方される酸化マグネシウムをいくら飲んでも、吸収されず下痢になるだけです。ミネラルを吸収するにはイオン化するかキレート化する必要があります。

サプリを選ぶときには注意が必要です。MgClは水にいれるだけで解離してイオン化されやすくなります。キレート化されたものであれば、グリシンマグネシウムやリンゴ酸マグネシウムなどがあります。いずれも日本では販売できませんが、アイハーブでの購入可能です。

料理に使う塩は精製されたものではなく、ぬちまーすのようなミネラル豊富な塩を使うとよいでしょう。

 

ぬちまーす 250g

ぬちまーす 250g

 

 

経皮的な吸収もおすすめです。美容マニアの方ならご存知だと思いますが、エプソムソルトを入浴剤として使うと経皮的にマグネシウムを吸収できます。アイハーブからスプレータイプのものやスティックタイプのものも出ており、持ち歩いて気が付いたときに塗ることもできます。

 

 

エプソムソルト風呂に入ると、疲れがとれ睡眠の質もよくなるように感じます。

ダイエットにマグネシウム、疲れてもマグネシウム、運動してもマグネシウム、お酒を飲んだらマグネシウム、ストレスにもマグネシウム、ですね。

(腎不全の人は血中濃度が過剰になることがあるので例外です。)

 

 

参考資料 宮沢賢史先生講義資料 

     山田豊文先生講義資料