新しい認知症の治療であるリコード法とは
前回の続きになりますが、認知症の予防について、更に詳しくお話したいと思います。
前回紹介したこの書籍。
アルツハイマー病 真実と終焉 "認知症1150万人"時代の革命的治療プログラム
- 作者: デール・ブレデセン,白澤卓二,山口茜
- 出版社/メーカー: ソシム
- 発売日: 2018/02/16
- メディア: 単行本
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ここでは認知症の予防法、治療法としてリコード法というものを提唱しています。
リコード法とは
アルツハイマー型認知症は脳にアミロイドβが蓄積することで発症すると言われています。
脳は、①炎症 ②栄養不足 ③毒素という3つの脅威にさらされると、それに対する防御反応の一環としてアミロイドβを蓄積させて脳自体を守っています。
しかし脳に対する脅威が強力で、一向におさまらない状態が長く続くと、アミロイドβが過剰になってしまい、結果、アミロイドβが脳神経を破壊してしまいます。これがアルツハイマー型認知症というわけです。
この3つの脅威を取り除くことで、アルツハイマー病とその前段階の患者の認知機能を回復させるプログラムが、リコード法(Reversal COgnitive DEcline)です。
①炎症を抑えるために
病原体などが侵入することで、炎症が起こります。この炎症が慢性的に続くと、アミロイドが産生されるというわけです。
炎症に関しては、うつ病との関連も指摘されており、以下のブログでお話しています。
慢性炎症は様々あります。隠れた炎症では、上咽頭炎、副鼻腔炎、腸炎、歯の炎症など、心当たりがあるものは早急に治療すべきです。
トランス脂肪酸やグルテンや乳製品は、腸管を傷つけ、リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)の原因となり、炎症を引き起こします。
砂糖も炎症誘発物質です。糖化が炎症を引き起こします。
そして、血糖値が高い状態が続くと、血中のインスリン値も高い状態が続きます。インスリンを分解する酵素は、アミロイドβを分解する酵素と同じなのです。インスリンが高い状態では、インスリンの分解が優先されるため、アミロイドβが分解できない状態が続き、蓄積していきます。
血糖コントロールは非常に重要ですね。以下もご参照ください。
②必要な栄養因子を補充する
脳の神経細胞を丈夫にするとアミロイドβの蓄積に強くなります。
脳の神経細胞を強化するものの一つに、脳由来神経栄養因子(BDNF)があります。これは運動で増やすことができます。
エストラジオールやテストステロン、ビタミンDや葉酸なども神経細胞を丈夫にするためには欠かせない物質です。更年期障害などで、性ホルモンが低下した場合は積極的に補うのが良いのかもしれません。
③毒素を除去する
脳に、銅や水銀などの有毒金属、またはカビが産生する有害毒素(マイコトキシン)などが侵入すると、脳はアミロイドを産生し、これらの毒素と結合させ、神経細胞にダメージを与えないようにします。
アルツハイマー型認知症の原因となる過剰のアミロイドが産生されないように、これらの毒素の発生源を取り除く必要があります。
カビが発生しないように、水回りを掃除することも、認知症予防になるということですね。
水銀については以下でお話しています。
そして、有害物質をデトックスするために、アブラナ科の野菜をとり、きれいな水を補給し、サウナなどで汗を流し、グルタチオンなどの解毒作用のある物質を増やすようにします。
リコード法では、これらの原因のどれに当てはまるのか、徹底的に検査し、そして原因を除去していきます。
そこまではできないにしても、ここで述べたことを理解しておけば、私達が予防としてできる事もたくさんありそうですね。
参考図書 アルツハイマー病真実と終焉 ソシム