精神科女医の健康談義

精神科医の立場で精神科医療や栄養療法、漢方治療などについてわかりやすくお伝えしています。

風邪とビタミンC -自宅にビタミンCは絶対常備すべきですー

ビタミンCは栄養界の吉永小百合のような存在です。キムタクでもイチローでもよいのですが、もう絶対的な安定感のあるスーパーヒーローです。

このブログでもビタミンCについて取り上げてきました。

www.sakuranbo23.com


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今回は、このスーパーヒーローの実力を裏付ける論文が、オーソモレキュラー学会のHPで紹介されていましたので、紹介したいと思います。

 

 

 

 

ビタミンCが風邪症状の緩和や、発症予防に効果があった

 

こちらの論文です。

The effectiveness of vitamin C in preventing and relieving the symptoms of virus-induced respiratory infections. - PubMed - NCBI

 

論文の内容

研究の舞台は、チリのサンチャゴ市にある大学生のための運動トレーニングセンター。

ここでは1年を通じて10日間の運動プログラムを行っています。ここで、プログラムに参加する学生に対して、1990年にウイルス性上気道炎の症状を持っている割合と、その翌年ビタミンCを投与した場合の割合を比較しました。

1990年は、463人の学生が参加。喉の痛みや鼻詰まりなどの症状がある場合、医師がウイルスによる上気道炎症状か否かを診断します。その上で解熱剤あるいは感冒薬を服用させ、生活指導をしました。
1990年における10日間では、ウイルスによる上気道炎の有症率は前半と後半それぞれにピークがみられました。前半のピークは、ウイルス感染の潜伏期に入所した学生の症状が顕在化したもの、一方で後半のピークは施設内で新たに他の学生から感染して症状が出たものと推定されます。

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翌年1991年は252人の学生が参加。入所時または入所期間中に、上気道炎症状がある学生には、すぐにビタミンC1gを1時間毎に6回、翌日からは1gを1日3回投与しました。そして無症状の学生には、期間中ビタミンC1gを1日3回投与しました。
入所期間中の有症率は1日目をピークにだんだん減少し、9日目、10日目の有症状者はゼロになりました。1991年ビタミンCを投与した学生の風邪症状は、対症療法のみの1990年と比べて85%減少しました。

 

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この研究から、ビタミンCが風邪症状を緩和し、発症を予防することが明らかになりました。

 

 

この結果から私たちができること

毎日1g以上のビタミンCを摂取することで、風邪を引いた場合の症状の発生を抑えたり、症状を和らげたりすることができます。

 

職場や家族全員が毎日1g以上のビタミンCを摂取することで、職場や学校そして家庭内での集団感染を予防することができます。

私の勤務している病院でも、毎年入院患者さんの間でインフルエンザが発症し、スタッフや他患者さんにタミフルの予防投与などが施されます。

インフルエンザが世間で流行し始めたら、スタッフや患者さんにビタミンCを内服してもらうという事を試みたいものです。副作用や費用の面でもメリットが大きいこと明らかです。しかも美肌などのおまけつき。

例えば災害などが起こった場合に、避難所生活をしている方にも、配布することで、副作用なく安価に、感染症予防ができるなど、使い道は多々ありそうですね。

このスーパーヒーローを国レベルで、上手く使って頂きたいものです。

 

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