糖質制限してはいけない人①
昨日の続きです。
糖質制限してはいけない人はどういう人でしょうか。
結論
分子栄養学的な結論は、糖質以外の栄養摂取、吸収、代謝に問題がある人です。
つまり、タンパク質と脂質を、吸収したり、使ったりがうまくできない人です。
そういった人が糖質制限をすると、確実に体調を崩します。
一般的に糖質制限をしてはいけない人
糖質制限で有名な高尾病院の江部康二先生は、糖質制限の前提条件としては、腎機能の保持、活動性膵炎、肝硬変、長鎖脂肪酸代謝異常がないことなどをあげています。
糖質制限をすると、タンパク質の摂取量が増えます。タンパク質の代謝は肝臓や腎臓で行うので、肝臓や腎臓の機能が落ちている人には負担が多きすぎるということです。
長鎖脂肪酸代謝異常とは、脂肪をエネルギーとしてうまく使えない人です。人はエネルギーを糖質、脂質、タンパク質から供給します。一番簡単にエネルギーにできるのが、糖質です。糖質からのエネルギーをカットして、脂肪からのエネルギーが使えないとなると、タンパク質しか供給源がなく危機的な状況になりそうですね。
では次は分子栄養学的に糖質制限してはいけない人についてです。
まず、昨日の症例を理解するために、必要な知識をお話します。
事前に知らなければならないこと、タンパク質の代謝
昨日の症例の解説の前に、タンパク質の代謝についてお話します。
糖質制限をすると、脂質、タンパク質の摂取量が増えます。
タンパク質の消化には胃酸が必要です。タンパク質は消化されるとアミノ酸に分解され、腸から吸収されます。そして肝臓に送られ、そこでアミノ酸を材料に新たなタンパク質がつくられます。
レゴブロックを想像してみてください。腸から吸収するために、いったんバラバラにして、吸収した後、また違うものをつくりあげるイメージです。
体はタンパク質からできています。鬱病で不足すると言われているセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質、胃酸などの消化酵素もタンパク質からできています。
タンパク質がうまく吸収できないとどうなるか
例えば胃酸がしっかりと出ない人を考えてみましょう。
胃酸が出ないと、胃の中で、タンパク質をアミノ酸に分解することができません。アミノ酸に分解されず、タンパク質のまま腸へ行くと、大腸を荒らします。未消化のタンパク質は悪性菌を増やします。そしてリーキーガット症候群の原因にもなります。
リーキーガット症候群は、腸漏れ症候群ともいわれ、腸内環境の悪化により、腸のつなぎ目が緩んでしまう状態を指します。スカスカの腸と思ってください。(詳細はいずれ書きたいと思います。)
リーキーガット症候群になると、そこにやってきたタンパク質が、緩んだつなぎ目から血中に直接入り込む事ができるようになります。血中に、分解されたアミノ酸ではなく、タンパク質の状態で入り込んでしまうと、アレルギー反応が起こります。これが遅延型フードアレルギーです。原因となるタンパク質を食べてから数時間後にめまいや倦怠感や湿疹など様々な症状を引き起こします。そして、腸で慢性的に炎症を引き起こしてしまいます。
胃酸が出にくい人とはどんな人でしょうか。
胃酸を作るのはタンパク質です。タンパク質不足の人、ストレスの多い人は胃酸分泌が低下します。胃酸抑制剤をずっと飲んでる人も要注意です。
そういった人が急に大量のタンパク質を食べると、消化が出来ずに、結果的に腸の慢性炎症を引き起こしてしまうのです。
長くなりそうなので、昨日の症例の解説を含めて、続きは明日にしたいと思います。今週は糖質制限週間になる予定です。
もしわかりにくい事などがあればコメント欄に書いてくださいね。