精神科女医の健康談義

精神科医の立場で精神科医療や栄養療法、漢方治療などについてわかりやすくお伝えしています。

ビタミンDの重要性ー第1回オーソモレキュラー学会ー

先週末は東京で開催された第1回オーソモレキュラー医学会に参加してきました。

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平智之先生や今野裕之先生など、精神科の先生方のご講演もあり、精神科もいよいよ栄養療法なくしては語れない時代が近づいているのかもしれないなと感慨深くなりました。

 

その他、癌治療や歯科領域、ホルモン療法、腸内フローラ移植、糖質制限、神経栄養因子、医療大麻など多岐にわたり非常に興味深い内容を聞くことができました。

 

溝口徹先生は脂溶性ビタミンについて講義してくださいましたが、いつもながらわかりやすくも本質的な内容で大変感銘を受けました。

 

今回の学会では様々な講演でビタミンDの話題を耳にしました。

その理由は、ビタミンDの作用は全身に及び、非常に重要であること、それにも関わらずほとんどの人が不足状態にあるためです。

近年ビタミンDが乳癌や大腸癌を予防するというエビデンスはかなり蓄積しつつあります。その他にも免疫賦活、抗アレルギー、筋骨維持、インフルエンザ予防などの作用もあり、精神科領域では冬季うつの原因のとして注目されています。

ビタミンDの受容体は全身の多くの臓器の細胞に存在するため、その作用は多岐にわたるわけです。

これほど重要なビタミンにも関わらず、日本人の80%以上はビタミンD不足という調査結果がでています。

ビタミンDは日光と食べ物、サプリメントで供給されます。ビタミンD不足となる原因は、日照時間の少ない地域での生活、日焼け止めや年齢、腎臓病などがあります。

ではビタミンDの過不足はどのようにしたらわかるのでしょうか?自分のライフスタイルや体の状態から、ある程度予測はできるかもしれません。しかし正確に知るためには、血液検査で血清25(OH)ビタミンD濃度を測定します。ただこれは保険適応ではなく、一部の理解あるクリニックでしか測定ができず、価格も高めです。

今回の学会で知ったのですが、最近ベッドサイドで簡単に測定できるキットが、ドイツのプリベンティス社から開発され、数分でビタミンD値を測定できるようになったようです。学会の中でも何度か紹介されているので、今後導入するクリニックは増えていくと思われます。精神科の病院全てに導入してほしいところです。

多少の不足であれば、日光を浴びる時間を増やし、食事からも摂取することを心がけるとよいでしょう。ビタミンDは魚の内臓に多く含まれます。内臓を摂るためには、しらすをたくさん食べるのがお手軽です。

確実に不足している場合や、ガンなどの疾病予防、治療を目的とする場合には、サプリメントからの補給が必要になります。これは血中濃度を確認しながら行う事をお勧めします。

ただ、ビタミンDの世界でご高名なマイケルフォリック先生は、最大5ヶ月、1万単位のビタミンDを服用しても毒性はないと述べられています。

私の勤務している病院では血中濃度を測定できないので、自己責任で毎日5千単位服用しています。乳がん、大腸がん予防のためです。そろそろ一度測定してみようかと考えています。

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