人前で話す事が苦手な人へ
私の父は塾長でした。
非常に厳しい人でしたが、私は小学四年の時にその父の塾に通い始めました。
初めて父の授業を受けた時の事は鮮明に記憶しています。
父が入って来た瞬間、教室の空気が変わり、緊張感に包まれ、ざわざわしていた生徒達も居住まいを正しました。そして予想に反するような言葉から話し始め、皆が引き込まれていきました。
父が話し上手なのか、カリスマ性があったのか、子供の特性を熟知していたのか、今になってはわかりません。
現在、私は人前で話す機会が度々あります。準備をしている間は、こんな内容で満足してもらえるだろうかと頭を抱え、終わった後には自分の滑舌の悪さに落ち込むなど、満足できる講義や講演はなかなかできません。
そこで、先日父にどうすればうまく話せるのかを聞いてみました。その答えは意外なものでした。
上手く話せる人は文章が下手、文章が上手い人は話すのが下手という事でした。
文章が上手い人は、話す時にも文章言葉になり聞く方はわかりづらいようです。
話すのが上手い人でも、その話を文章にすると論理的でない事が多いようです。
そしてもう一つ、人は2つに分類できるとのことでした。目に見える事を考える人と、目に見えない事を考える人。要は具体的な思考か、抽象的な思考かということです。具体の人は話すのが上手い人、抽象の人は文章が上手い人に相当するのかもしれません。
苦手な事があっても、それ相応の理由や特性があると考えると、そんな自分も受け入れられるのではないでしょうか。そしてそれを上手く利用できるようになるといいですね。